【完全版】IT導入補助金でホームページを作る前に知っておくべきこと - 落とし穴と賢い活用法

はじめに - 「補助金で半額」の甘い言葉
「IT導入補助金を使えば、ホームページが実質半額で作れますよ」
制作会社からこんな提案を受けたことはありませんか?
確かに魅力的に聞こえます。100万円のホームページが50万円の負担で作れる。誰だって飛びつきたくなります。
でも、ちょっと待ってください。
補助金ありきで選ぶと、後悔することが非常に多いのです。
この記事では、IT導入補助金の仕組みを正しく理解し、本当にお得かどうかを判断するための知識を提供します。
IT導入補助金とは
制度の概要
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際に、その費用の一部を補助する制度です。
2025年度の主な内容:
| 類型 | 補助率 | 補助額 |
|---|---|---|
| 通常枠(A類型) | 1/2(小規模事業者2/3) | 5万〜150万円未満 |
| 通常枠(B類型) | 1/2(小規模事業者2/3) | 150万〜450万円 |
| セキュリティ対策推進枠 | 1/2(小規模事業者2/3) | 5万〜150万円 |
| インボイス枠 | 2/3〜3/4(小規模事業者4/5) | 〜350万円 |
※2025年度より「デジタル化基盤導入枠」は「インボイス枠」に再編されました。
対象となるITツール
- 会計ソフト
- 受発注システム
- 決済システム
- ECサイト
- 顧客管理システム(CRM)
- 勤怠管理システム
注意点:「ホームページ制作」単体は対象外
実は、単なるコーポレートサイトの制作は、IT導入補助金の対象にはなりません。
対象となるのは「業務効率化や売上アップに直結するITツール」です。
つまり、ECサイトやCRMを含むホームページなら対象になりますが、「会社案内を載せるだけのサイト」は対象外なのです。

補助金の「落とし穴」3つ
落とし穴①:補助金対応業者が限られる
IT導入補助金を使うには、 「IT導入支援事業者」として登録された業者 に依頼する必要があります。
これが最大の制約です。
問題点:
-
良い業者を自由に選べない
- 登録業者のみ対象
- 地域によっては選択肢が少ない
- 実力よりも「登録しているかどうか」で選ぶことになる
-
業者の質にばらつきがある
- 登録審査は技術力を見ていない
- 「補助金営業」が得意なだけの業者も存在
- 実際の制作力は別問題
-
補助金ありきの提案になりがち
- 本当に必要な機能かどうかより
- 「補助金が出るから入れましょう」という提案
実際にあったケース:
「IT導入支援事業者だから」という理由で選んだ業者に依頼。しかし、制作技術が低く、納品されたサイトは表示速度が遅く、スマホ対応も中途半端。修正を依頼しても対応が遅い。結局、別の業者に作り直しを依頼することになった。
落とし穴②:見積もりが「補助金前提」で高くなりがち
これが最も厄介な落とし穴です。
カラクリ:
補助金なしの場合:
・相場:50万円
・自己負担:50万円
補助金ありの場合:
・見積もり:100万円(相場の2倍に膨らむ)
・補助金:50万円(1/2補助)
・自己負担:50万円
あれ?自己負担額が同じ…?
そうなんです。「どうせ補助金が出るから」という心理が働き、見積もりが膨らむケースが非常に多いのです。
なぜ膨らむのか:
-
「補助金使うなら機能を盛りましょう」 という提案
- 本来不要な機能が追加される
- 「せっかくだから」の罠
-
業者側のインセンティブ
- 補助金案件は単価が高い
- 申請書類作成の手間賃が上乗せ
-
比較検討がしにくい
- 「補助金込み」の見積もりは比較困難
- 相場観がわかりにくい
対策:
- 補助金なしの見積もりも必ず取る
- 複数業者から見積もりを取る
- 「本当に必要な機能」を先に明確化する
落とし穴③:申請・報告の手間が膨大
補助金は「申請して終わり」ではありません。
必要な作業:
| フェーズ | 作業内容 | 目安時間 |
|---|---|---|
| 申請前 | 事業計画書作成 | 5〜10時間 |
| 申請前 | 必要書類の収集 | 3〜5時間 |
| 導入後 | 効果報告書作成 | 3〜5時間 |
| 導入後 | 1年間の実績報告 | 年2〜3時間 |
合計:20時間以上
これを本業が忙しい中で捻出できますか?
さらに注意が必要なこと:
-
書類不備で差し戻されることも
- 修正対応で追加の時間がかかる
- 最悪、採択されないリスク
-
効果報告は1年間続く
- 導入後も報告義務がある
- 効果が出ていないと追加報告を求められることも
-
虚偽報告は返還義務
- 適当に書くと後で問題に
- 最悪、補助金返還 + ペナルティ
補助金を使うべきケース
ここまで落とし穴を説明しましたが、補助金が有効なケースも存在します。
ケース1:大規模なECサイト構築
条件:
- 構築費用が200万円以上
- 決済機能、在庫管理、受発注システムが必要
- 本格的なEC運営を予定
この場合のメリット:
- 補助率1/2〜3/4で、数十万円〜100万円以上の補助
- 規模が大きいほど補助金の恩恵も大きい
- 申請の手間に見合うリターン
ケース2:業務システムの導入
条件:
- 会計・在庫管理・顧客管理などのシステム導入
- 月額費用がかかるクラウドサービス
- 業務効率化の効果が明確
この場合のメリット:
- ソフトウェアの初期費用・年間費用が対象
- 複数のツールをまとめて導入可能
- 業務効率化の数値化がしやすい
ケース3:セキュリティ対策
条件:
- サイバーセキュリティ強化が急務
- SECURITY ACTION宣言を予定
- VPNやセキュリティソフトの導入
この場合のメリット:
- セキュリティ対策推進枠で最大150万円(2025年度に上限引上げ)
- 補助率1/2(小規模事業者は2/3)
- 今後の法規制強化への対応

小規模なら「補助金なし」も選択肢
コーポレートサイトの相場
実は、コーポレートサイトやランディングページは、30〜50万円で十分に作れます。
| サイトの種類 | 相場 | 補助金の意味 |
|---|---|---|
| 名刺代わりのサイト | 10〜30万円 | そもそも対象外 |
| コーポレートサイト | 30〜50万円 | 手間に見合わない |
| ランディングページ | 20〜40万円 | そもそも対象外 |
| 簡易ECサイト | 50〜80万円 | 微妙なライン |
| 本格ECサイト | 100〜300万円 | 補助金活用を検討 |
補助金なしでコストを抑える方法
方法1:ノーコードツールを活用
| ツール | 月額費用 | 特徴 |
|---|---|---|
| STUDIO | 無料〜月5,680円 | 日本製、デザイン自由度高 |
| Wix | 無料〜2,000円程度 | 簡単、テンプレート豊富 |
| Shopify | 月33ドル〜 | EC特化、決済簡単 |
方法2:AIを活用した内製
2025年現在、AIの進化で「非エンジニアでもWebサイトが作れる」時代になっています。
- Claude CodeでNext.jsサイト構築
- ChatGPTでコンテンツ生成
- Vercelで無料ホスティング
私たちの実績:
QUESTのコーポレートサイト(llc-quest.com)は、AI開発ツールを活用して構築しました。
- 表示速度:0.5秒以下
- 保守費用:ほぼ0円
- 総開発費用:数万円程度
補助金の手間 vs コスト削減
比較してみましょう:
補助金活用パターン:
・見積もり:100万円
・補助金:50万円
・自己負担:50万円
・申請作業:20時間
・時給換算:5,000円×20時間=10万円
実質コスト:60万円 + 手間
──────────────────
補助金なしパターン:
・AI活用で内製:30万円
・外注しても:50万円
・申請作業:0時間
実質コスト:30〜50万円
結論:小規模案件では、補助金なしの方がお得なケースが多い
補助金を使う場合の注意点
それでも補助金を使うと決めた場合の注意点です。
1. 複数の業者から見積もりを取る
- IT導入支援事業者を最低3社比較
- 「補助金なしの場合」の見積もりも依頼
- 機能ごとの内訳を明確に
2. 本当に必要な機能を先に決める
- 「補助金が出るから入れる」は危険
- 使わない機能は保守コストになる
- ミニマムで始めて、後から追加
3. 申請スケジュールを確認する
- 採択まで2〜3ヶ月かかることも
- 導入期限がある
- 急ぎの案件には向かない
4. 報告義務を理解する
- 効果報告は1年間継続
- 数値での効果証明が必要
- 担当者が変わると引き継ぎが大変
まとめ
補助金は「もらえるからお得」ではありません。
知っておくべき落とし穴:
- 業者が限られる - 良い業者を自由に選べない
- 見積もりが膨らむ - 補助金前提で高くなりがち
- 手間がかかる - 申請・報告に20時間以上
補助金を使うべきケース:
- 費用100万円以上の大規模案件
- ECサイト・業務システムの導入
- セキュリティ対策強化
補助金を使わなくていいケース:
- コーポレートサイト(30〜50万円)
- ランディングページ
- 急ぎの案件
正しい順序:
- 本当に必要な機能を明確にする
- 補助金なしでの相場を調べる
- その上で補助金活用を検討する
「補助金ありき」ではなく、「必要なもの」を先に考える。
これが、後悔しないホームページ制作の第一歩です。
次のステップ
「うちの場合、どうすればいい?」
QUESTでは、ホームページのプラットフォーム選定から構築までサポートしています。
- 無料相談で現状診断
- 補助金活用の是非をアドバイス
- AI活用で低コスト構築
著者プロフィール
てんちょー(合同会社QUEST 代表)
普段はSIerで経営企画部員として働きながら、週末起業で高校時代の友人と共同創業。AI開発ツールを活用して、表示速度0.5秒、保守費用ゼロのコーポレートサイトを実現。補助金に頼らない低コスト開発を実践。
